うれしい日になるはずが、ちょっと悲しい現実

黒岳では、登山自粛が北海道警察よりでました。
ここは、斜面も急ですし、岩が多い登山道なので、雪と氷で登山は危険です。

 

旭岳も、この紅葉時季に、初冠雪は、付物ですが、
ここまでの積雪は、初冬なみ。。。すでに、冬山です。
色々な情報や気温などをしらべると、
軽アイゼンでも、もしかすると危ないかもしれない。。。
と思うほど。
今回は、簡易アイゼン(軽アイゼン)しかなかったので、
雪が固くなったら、下山しようと、ピッケルやヘルメット持参で出発です。
プライベート山行ですが、ガイド装備そのまま&プラスの装備。
ツェルト、コッフェル、防寒着、、は、何かあったらのためダウンパンツも。
食糧も、少し多めに持っていきます。

 

登山を開始すると、雪景色に反して、太陽の熱は暑く、ウェアは薄くても大丈夫。
雪も、気温が高いので、軽アイゼンでも大丈夫そうです。ただし、雪がべったりアイゼンにつくので、
ピッケルでたたいて、雪をおとしながら歩くので、ピッケルは必須です。

 

16年前、東川に移住して、旭岳のパトロールで働くようになってから、
初冠雪の後のピーカンの日は、冬のご挨拶として、
旭岳へ登ることが、自分の中で、冬前の儀式的な登山となっていました。
その頃は、雪一面になった旭岳では、ピッケル&12本アイゼン&冬山の服装のおじさんが
2~3人いるくらい。
冬山~行ける者だけが行ける領域の静寂さを味わっていましたが。。。

 

今日は、度肝を抜かされる光景が!!
沢山の登山者。。。しかも、夏の登山装備。
中には、登山装備じゃない、街の格好&手ぶら&スニーカーの方も。
まさか!と思うのですが、「どこまで行くんですか?」と聞くと、
何、聞いてんの?というような顔で、「山頂」と・・・。
この日は、まだ、例年ですと、紅葉登山の3連休。
まさか、雪になっている、、、とは、思わずにきているのかもしれませんが、
ふつ~に、考えると、この状況をみたら、登山辞めます。
ふつ~だと、登山するまえに、山の情報を収集します。

 

残念ながら、私のふつ~は、、、、全然ふつ~ではないようで。
スマフォやネットで地図、天気予報などの情報が、より正確に、どこでも入手できる時代
になったのに、なして~???

 

プライベートの山登りだったのですが、
あまりにも危ない登山者が沢山で、途中から「国立公園自然指導員」の腕章をつけて、
登山者に、アイゼンをもっているか?など、注意しながら登り、
山頂では、アイゼンや冬山装備無で、縦走する、、とか山泊する予定の登山者から質問攻め。
「道わかりますかね?」とか、、
「え、明日から天気くずれるんですか?」とか、、、
「え、小屋しまっているんですか?」とか…
泊まりで入る人とは、思えない会話が続きます。

 

街着の手ぶらスニーカー親子。。。子供は、まだ小学低学年にもなっていないような、、
そんな子を引き連れて、止めても、無視されたり。。。

 

今日は、アイゼン付けずに登っている人が、7割ほど。
雪山は、夏山とちがい、最初につけた人のラッセル後に着いていくので、
直登ライン。下りる人も、登る人も、必死すぎて、譲り合いもないのです。

 

人間の欲のヘドロが、この旭岳でうごめいている。

 

 

正直、山へ、人へのリスペクトがなさすぎな人ばかりで、怒りと悲しみでいっぱいでしたが。。
時代は、変わった。
私も、少しは、変わった。。。
経験のない人に、山の潜在的なリスクは、想像できない。。
頭ごなしに注意しても、怒ってもわからない。
なので、、アイゼンないならば~という忠告をしながら、山頂でしばらく待機。

 

そうこうしていると、予報にない雲が現れはじめ、山頂もガスりはじめる。
雪山のホワイトアウトは、道がわかりにくくなる。。大変危険。
私も、下山をきめましたが、、、
山頂では、まだ沢山の人。。。
どころか、下山をはじめたお昼ごろも、続々と、登山道に人のライン。
昼ごろから登りはじめ、アイゼンもないし、視界もなくなっているから、
気温が下がると、大変危ない旨を伝えているのに、
「ガス、なくなりますか?中岳♨へ周るコースへ行きたいんですけど、わかりますかね?」
、、と、ちんぷんかんぷんな質問。
本当に、衝撃的な1日でした。

 

声をかけながら下山しましたが、ほぼほぼほぼ、、、
「行けるところまで、いって、だめなら戻ってきます。」。。と。
雪の上は、登りは、踏み跡が付いて、滑りにくく、体力あれば、スニーカーでもサンダルでも
どこまででもいけるでしょう。

 

下りの方が滑るんですよ~
滑ったら、すごい勢いで止まらないですよ~
岩が露出して、ぶつかったら、怪我どころか命の危険もありますよ~
旭岳でも、そうやってレスキューされている方、いますよ~
白雲岳や赤岳では、滑落して、岩にぶつかって亡くなっている登山者もいますよ~

 

経験がないから、わからない、、だけではなく、
もともと「リスク意識が低い」人もいる、ということをツアーのお客さんを通して感じていました。
逆に経験がなくても、「起こりうること」を想像できる人は、リスク意識はばっちり。

 

「軽装備」だから、危ないのではない。逆に、重装備すぎる人もいる。
軽装備でも、自分の技量と山の経験や知識があれば、その人のリスクは減らせている。
スニーカーでも、スキーがうまい人なんて、滑るようにうまく、下山できるだろうし。。。
軽アイゼンがあれば、雪山でも大丈夫、、と思っているのも違う。
ただ、これだけ人がいると、そんな中身までは、判断できないので、
声をかけつづける。
時には、逆切れされたり、無視されたり。
やはり数日後、この日の素晴らしい景色を心から楽しめなかったストレスと
精神的疲労が、ぐ~っときました。

 

色々と調べると、「無謀登山者」のストーリーは、沢山でてくる。
マナー違反、モラルの欠如。
山でも川でも海でも。
山小屋でも、テント場でも。
とくに人の多い本州での山では、山小屋やパトロールの人の苦悩話が沢山。

 

また、逆に、「勝手に死ねばいい」など、
度を超えた「バッシング」も見られ、、、本当に嫌な気持ちになります。

 

私も、無謀な登山者を批判する気持ちもありますが、
数年前に、冬山で遭難された方の遺品回収の依頼を受けた家族と接し、
また、その遭難された方が、たとえ「無謀」「無茶」だったかもしれないけど、
頑張って、戻ろうとした形跡が携帯のログでみられ、、
旭岳の登山道から地獄谷に滑落して亡くなられたようで。。
「もうちょっとがんばれば、、家族のもとに帰れたのに・・・がんばったね」と、、
気持ちが変わりました。
ご家族からは、遺品を「全て回収したい」とのことで、
ザックや、なまなましいですが、獣たちのふんから出てきた衣類の切れ端、
髪の毛なども、地獄谷より回収しました。
(もちろん、洗って、なまなましい様子を軽減しました)
風で飛ばされてしまったであろう寝袋や手袋など、
結果として、私は、遺品を全て回収できませんでした。
紅葉時季もまたぎましたので、沢山人がいる中で、登山道から離れて、ウロウロもできません。
お線香をあげたいという奥さまを、落石があるかもわからない地獄谷へ連れていくことも、
私は引き受けませんでした。
そうすると、山や国立公園の事情のことをしらないので、
「青木さんは、探してくれない、、」と。

 

本当に、山では、人の欲が湧きでてきます。
遭難は、誰もが悲しい気持ちを味わいます。
日も、見て見ぬふりして、なにも言わずに、自分の時間を楽しめば、
ストレスなく、素晴らしい景色を楽しんで1日を終えたことでしょうが、
もし、けが人やそれこそ亡くなった方が居られたら、悔やむことでしょう。

 

以前ほど、「若い小娘が、わかったようなこというな!」という、
おっちゃんや登山者がいなくなったのは、
さすがに年をとったおかげでしょうか、、、

 

でも、まだまだ、こうゆう日の後は、数日精神的疲労と
山や登山者について考える日々がつづきます。。。
あと10年位したら、なんとも思わなくなってるかも(笑)

 

公募ツアーに参加される地元の方は、
一人で登山される人も多いので、山のリスクなどを伝えるようにしています。
そうゆう目的もあっての、公募ツアーでしたが、、、
逆にガイドがいることで、安全なので、
山のリスクを経験してなく、想像できなくしているかも。
人の命をあずかる仕事なので、私の体力的な余裕がある範囲でガイドしていますが、
すこしプッシュする、、緊張するツアーもしたほうが、いいのでしょうか?
ツアーのあり方にもついても、考えはじめました。。

 

長文すぎて、すみません。
久しぶりに、山にやられました~
でも、また明日山へ!

 

とにかく、ほとんどの方は、大雪山の景色や自然を楽しみに来ていて、
高所登山やクライミングなど、死と隣り合わせを覚悟でチャレンジする山行ではないので、
装備や知識不足で、怪我をしたり、命をなくすことのないよう~
私も、、みなさんも、気をつけましょう。

 

 


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